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誕生

 抜群のスタートを切って先頭に並びかけたスリープレスナイトは、四連勝の勢い、近二走 GIII とは言え圧勝の内容を買われ一番人気に押された。ハナを切ると腹を括っていたウェスタンビーナスや、エムオーウィナーなど四頭を内に見ながら、ゆっくりとポジションを決める。外々ながら、先頭を見ながら進める絶好の位置。
 このスリープレスナイトを見る位置にキンシャサノキセキ、春の王者ファイングレインと中段を形成し、その後ろにスズカフェニックス、近走見られなかったスタートの悪さを見せたカノヤザクラが後方からという隊列で、馬群そのものは長くならないまま、最終コーナーに流れ込んでいく。
 外を回ってスリープレスナイトが、さらにその外を通ってキンシャサノキセキが先頭に並びかける。春の王者ファイングレインは内をつく。
 先頭はまだウエスタンビーナス、その後ろからアポロドルチェ、ビービーガルダン。スリープレスナイトはまだ追わない。完全に直線を向いてもまだ追わない。その横にぴったりキンシャサノキセキ、後方からスズカフェニックス、トウショウカレッジが追い始める。
 馬群全体が完全に直線を向いた。そして、満を持して鞍上 上村 騎手が追い始める。

 あっという間に横についていたキンシャサノキセキを置いてきぼりにする。
 先頭に立ったアポロドルチェに並ぶ。内に潜り込んだファイングレインは伸びあぐね、外から追ってくるスズカフェニックス、トウショウカレッジの 33 秒台の末脚も全く切れ味がなく見える。それほどのスリープレスナイトのスパートは他を圧倒していた。
 ゴール板を前にして、上村 騎手のこのレース中一度も使うことのなかった鞭を持つ左手が天をついた。
 新女王誕生、そして GI ジョッキー 上村 洋行 誕生した。そしてそれは、橋口 調教師への最高のバースデープレゼントだった。

 強いだろうとは思っていましたが、ここまでとは。
 もちろん強い馬が、順調に強い競馬をしたということもあろうとは思いますが、スリープレスナイトという牝馬にこの距離で勝つことは至難の業だと思います。それぐらい強かった。
 あと感動しましたね。
 スタンドに戻ってくるスリープレスナイトの上で、うなだれるようにして涙をこらえ、戻って下馬した瞬間、橋口 師にまるで子供が飛びつくように抱きついて、そして同期の後藤 騎手をはじめとして、多くの騎手から祝福され…苦労人がやっと頂上にたどり着いたことの感動もあり、その苦労を見てきた周辺の人たちとの人情劇もあり…それを思うと泣きそうになりました。
 残念ながら馬券は獲れませんでしたが、秋初戦からいいものを見せてもらいました。

 馬券は次で取り返します!
 一週おいて、いろんな意味で冷ましてから、秋華賞に挑むことにします。

 とりあえず、おめでとう。10/6 最高の勝利を見せてくれた人馬にこれからも祝福が多いことを!!>上村 騎手&スリープレスナイト

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